訪日外国人旅行者が増える中、ホテルや旅館ではインバウンドへの対応がますます重要になっています。
ただ、2026年のインバウンド市場を見るうえで注目したいのは、単純な「外国人旅行者数の増減」だけではありません。
今後、宿泊施設にとって重要になるのが、訪日客の国・地域の多様化への対応です。
これまでインバウンド対策というと、訪日客数の多い国・地域を想定して案内やサービスを整える方法が一般的でした。しかし、訪日市場が拡大するにつれて、日本を訪れる旅行者の出身国も広がっています。
そのため、今後は「どの国から何人来るのか」だけでなく、さまざまな言語や文化を持つ旅行者が同じ施設を利用することを前提に、サービスや設備を考えることが重要になってきます。
2026年は、さまざまな国・地域から訪日客が来る市場へ
日本政府観光局(JNTO)によると、2026年8月の訪日外客数は約309万9,000人でした。
全体では前年同月比9.6%減となったものの、韓国、台湾、香港、マレーシア、インドネシア、インド、米国、メキシコ、フランス、イタリア、スペインなど14市場で「8月として過去最高」を記録。さらにイタリアとスペインは単月として過去最高となりました。
その前の2026年7月にも、訪日外客数は約344万2,000人となり、韓国、台湾、米国、フランスなど17市場で7月として過去最高を記録しました。
前年比減でも実際は過去最高を更新!宿泊施設はこれをどう捉えていくか

ここで注目したいのは、訪日客全体が前年同月を下回った月でも、多くの市場では過去最高水準の旅行者が日本を訪れているという点です。
つまり現在のインバウンド市場は、「特定の国から多くの旅行者が訪れる市場」から、アジア・北米・欧州・中東など、より幅広い地域から旅行者を迎える市場へと変化しつつあります。
宿泊施設側から見ると、この変化は重要です。
同じ外国人旅行者でも、使用する言語、旅行スタイル、日本への訪問回数、ホテルに求めるサービスなどはさまざまです。さらに、個人旅行客、家族旅行、団体旅行、長期滞在など、宿泊形態によって必要とされるサービスも異なります。
そのため「外国人向けサービス」という一つの括りではなく、さまざまな宿泊客が迷わず利用できる環境をつくることが、これまで以上に求められるようになります。

宿泊施設にとってインバウンドは、単純な宿泊人数だけを見る市場ではありません。客室単価や館内利用、連泊需要、サービス内容など、施設全体の売上や運営方法を考えるうえでも無視できない市場となっています。
外国人観光客に選ばれ続けるためにできること
外国人観光客に選ばれ続けるためには、設備を増やしたり、多言語対応を充実させたりするだけでなく、「宿泊中に迷わない・困らない・使いやすい」と感じてもらえる環境を整えることが重要です。
予約時には魅力的に見えても、実際に宿泊した際に「アメニティの使い方が分からない」「必要なものがどこにあるのか分からない」「館内の案内が理解しづらい」といった小さな不便が重なると、宿泊体験全体の満足度にも影響します。
反対に、案内が分かりやすく、必要なものがすぐに見つかり、説明を受けなくても利用できる環境であれば、初めて日本を訪れる旅行者でも安心して滞在できます。
そのため、これからのインバウンド対応では、
- 案内やメニュー、アメニティ等を英語でも表示する
- アメニティや備品はピクトグラムで用途を示す
- 必要な備品は必要な場所に設置しておくようにする
- アメニティセットでの提供も検討する
などといった工夫が考えられます。
スタッフがその都度説明しなくても利用方法が伝わる仕組みは、外国人旅行者の利便性だけでなく、ホテル側のオペレーション負担軽減にもつながります。
案内やメニュー、アメニティ等を英語でも表示する
既にほとんどの宿泊施設が取り組んでいるかと思いますが、思わぬ見落としがあることもあります。すべてのゲストに平等に、快適に過ごしてもらうためにも、案内表示やメニュー、アメニティなどは定期的に見直してみましょう。
特に確認したいのは、次のようなポイントです。
- 間違った英語表現や、意味が伝わりにくい直訳になっていないか
- 日本語では案内されているのに、英語では情報が不足している箇所がないか
- 英語を母国語としないゲストにも理解しやすい、簡潔な表現になっているか
たとえば、以下のような箇所を見直してみましょう。
- フロント・チェックイン周辺
チェックイン・チェックアウト時間、朝食時間、荷物預かり、支払い方法など、到着時に確認されやすい情報。 - 客室内の案内
Wi-Fiの接続方法、エアコンや照明の操作方法、内線電話、清掃方法、タオル交換など、滞在中に利用する設備やサービス。 - 大浴場・館内施設
利用時間、利用方法、タオルの持参が必要かどうか、入浴時の注意事項など、日本独自の利用ルールがある場所は特に確認が必要です。 - レストラン・朝食会場
営業時間、料理名、アレルギー表示、ドリンクの種類、セルフサービスの利用方法など。 - アメニティコーナー
歯ブラシ、カミソリ、ヘアブラシ、コットンなどの商品名だけでなく、「自由に取ってよいのか」「必要な分だけ取るのか」といった利用方法も分かりやすく表示します。 - 館内の誘導表示
エレベーター、非常口、トイレ、喫煙所、コインランドリー、自動販売機など、ゲストが自分で探す機会の多い場所。
また、文章が長すぎると、英語が得意ではないゲストにはかえって伝わりにくくなる場合があります。
そのため、専門的な単語や難しい表現をできるだけ避け、短く・簡潔に・一目で意味が分かる表現を意識することも大切です。
英語表記を「一度作って終わり」にするのではなく、館内サービスやアメニティの変更に合わせて定期的に見直すことで、より多くのゲストが安心して利用できる環境につながります。
前あきパイル地スリッパ (ブラウン) 300足

ふんわりとしたパイル生地で疲れた足を優しく包みます。旅行や出張などへの携帯用としてはもちろん、ホテル、旅館、住宅展示場など業務用としてもオススメのおもてなしアメニティです。
4か国語(英語・中国語・韓国語・日本語)表記でインバウンド対応◎企業のイメージアップにも繋がります。
ピクトグラムで用途を示す:アメニティも「言語に依存しにくいもの」へ

英語表記とあわせて有効なのが、ピクトグラムやイラストによる表示です。
たとえば歯ブラシ、カミソリ、ヘアブラシ、コットン、綿棒などの日本人であっても一瞬中身が何か分からない個包装のアメニティは、商品名だけを文字で表示するよりも、イラストを添えることで用途を直感的に理解しやすくなります。
ピクトグラムの大きなメリットは、特定の言語に依存しにくいことです。
英語が得意ではない旅行者でも、商品の形や使用方法をイラストから判断できる場合があります。そのため、訪日客の国籍が多様化するほど、文字だけに頼らない表示の重要性は高くなります。
さらに、アメニティバーなど複数の商品を並べる場所では、ピクトグラムがあることで商品を探す時間を短縮しやすくなります。
「これは何ですか」とスタッフへ確認する機会を減らせるため、宿泊客の利便性と施設側の業務効率の両方にメリットがあります。
DCアメニティで取り扱っている「ECO紙シリーズ」では、パッケージに英語表記とピクトグラムを採用した商品をご用意しています。たとえばコットン・綿棒セットやヘアーバンドなどは、英語表記に加えてイラストでも内容が分かるため、海外からのお客様にも用途を伝えやすい仕様です。
国産 先細ハブラシセット24穴-3g 食用外米35%配合 ECO紙シリーズ 2760本

地球にやさしい選択を。食用外のお米(砕米)を35%配合した、環境配慮型の国産先細ハブラシセットが新登場。
プラスチック使用量を削減する本製品は、「プラスチック資源循環促進法(プラ新法)」にも対応可能。環境に配慮した施設づくりを支援します。
必要な備品は必要な場所に設置しておく

宿泊施設では、必要な備品が施設内のどこにあるのか分からないことが、宿泊客の小さなストレスにつながる場合があります。
特に外国人旅行者の場合、日本のホテルや旅館の利用方法に慣れているとは限りません。
たとえば、大浴場へタオルを持参する必要があるのか、脱衣所に置いてあるのか、歯ブラシは客室にあるのか、フロントでもらうのか、といったルールは施設によって異なります。
そこで、実際に使用する場所の近くに必要な備品を設置することで、説明がなくても利用しやすい環境をつくることができます。
大浴場で使うものは大浴場の近く、客室で使用するものは客室内、チェックイン時に必要なものはフロント周辺など、利用する場面に合わせて配置することがポイントです。
備品の場所が分かりやすくなると、スタッフへの問い合わせも減少しやすくなります。
また、「どこにあるのか探す」という行動そのものを減らせるため、宿泊客にとっても快適な滞在につながります。
アメニティバイキングよりも「アメニティセット」での提供がおすすめの理由

近年は、フロント付近に歯ブラシやカミソリ、ヘアブラシなどを並べ、必要なものだけを宿泊客自身が選ぶ「アメニティバイキング」を導入する施設も増えています。
必要な分だけ提供できるため、無駄を減らしやすいというメリットがあります。
一方で、インバウンド対応という視点では、あらかじめ必要なものをまとめたアメニティセットで提供する方法も有効です。
アメニティバイキングでは、宿泊客自身が「何が必要なのか」「どの商品を取ればいいのか」を判断する必要があります。
日本の宿泊施設に慣れている人であれば問題ありませんが、初めて日本を訪れる旅行者の場合、商品名や用途が分からず、必要なものを取り忘れてしまう可能性があります。
また、商品を一つひとつ確認しながら選ぶため、チェックインが集中する時間帯にはアメニティコーナーが混雑することも考えられます。
一方、歯ブラシ、カミソリ、ヘアブラシなど基本的なアイテムを巾着や袋にまとめてセット化しておけば、日本旅行に慣れていない海外ゲストであっても「この一式を持っていけばよい」と直感的に理解できます。
さらに、セット内容を統一することで、施設側にも次のようなメリットがあります。
- 宿泊客への説明を簡略化できる
- 必要なアメニティの取り忘れを防ぎやすい
- 設置や在庫管理の手間が省ける
- 客室や宿泊プランごとにセット内容を管理しやすい
- 大浴場などへの持ち運びにも利用できる
- アメニティコーナーでのアメニティの取りすぎを防げる
特に、巾着などにまとめて提供すれば、客室から大浴場へ移動する際にもそのまま持ち運ぶことができます。
もちろん、すべての施設でアメニティセットが適しているわけではありません。必要なものだけを自由に選んでもらうことを重視する施設では、アメニティバイキングの方が適している場合もあります。
しかし、「宿泊客にできるだけ迷わせない」「説明を少なくする」「必要なものを確実に提供する」ことを重視するのであれば、アメニティセットは非常に分かりやすい提供方法です。
訪日客の国籍が多様化するこれからの宿泊施設では、「自由に選べること」だけでなく、誰でも迷わず利用できることもアメニティ提供方法を考えるうえで重要なポイントになりそうです。
アメニティ4点セット 【梨地ステンドバッグ】 200組 (赤,青,緑,黄,紫 各40組)

定番の歯ブラシ・タオルにカミソリが入ったベーシックなアメニティセットです。マットな質感の梨地+和柄プリントのバッグ入りはインバウンドのゲストにもご好評いただけます。
あらかじめおひとり分をセット組みしてありますので、必要な人数分をフロントでお渡し、または客室内に置くだけ。
また、複数のお客様が泊まられるお部屋でもお客様同士で誰のものかが把握しやすいように、バッグは5色展開でご用意。

アメニティを単品で並べるだけでなく、「一式を分かりやすくまとめて渡す」という考え方も、インバウンド対応の一つです。
まとめ:国籍ごとに商品を変えるより、「誰でも分かる」環境づくりを
インバウンド対応というと、
「中国人向け」
「韓国人向け」
「欧米人向け」
と国籍別にサービスを考えがちです。
しかし、訪日客の出身市場がこれだけ多様化してくると、すべての国籍に個別対応することは難しくなります。
これからの宿泊施設では、
英語表記
×
ピクトグラム
×
直感的に使えるアメニティ
×
分かりやすい提供方法
を組み合わせ、できるだけ国籍を問わず利用しやすい環境を整えていくことが重要になりそうです。
インバウンド対応を「翻訳の問題」だけとして考えるのではなく、客室備品やアメニティそのものを見直してみる。
訪日旅行者の国籍が多様化する今だからこそ、そうした小さな工夫が宿泊客の満足度と、現場スタッフの使いやすさの両方につながっていくのではないでしょうか。
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DCアメニティでは、ホテル・旅館向けのアメニティ、タオル、巾着、エコ商品など、さまざまな宿泊施設向け商品を取り扱っています。インバウンド対応を含め、施設の客層や運用方法に合わせたアメニティ選びにぜひお役立てください。
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